昔は怖いもののトップ4は、
「地震、雷、火事、おやじ」と言われたものだが、
雷とおやじは怖れられなくなったが、
近年も不動のものは、地震と火事だろう。
地震については下記リンクのページをお読みいただくとして、
ここではそのうちの「火事」の原因と防火対策を考える。
32万人もの犠牲者が予想される南海トラフ地震が30年以内に発生する確率とメカニズム
火災原因のトップ5と対策
イラスト:mono777/イラストAC[/caption]
住宅で火事が起こる原因で多くを占めるのが「放火」「タバコ」「コンロ」「火遊び」「たき火」など。
中にはコンセントのホコリなどから発火する「トラッキング火災」や、雷などの「自然現象」が原因となる場合もある。
放火火災は火災原因のトップとなっており、日が沈む夕方から人々が睡眠する深夜にかけて多く発生している。
放火を防ぐためには,家の周りに燃えやすいものを置かない、
「放火させない環境づくり」が大切だ。
出火原因
放火による火災
住宅の放火への対策
家の周りに燃えやすいものを置かないようにする。
ゴミは決められた日の朝決められた場所に出すようにする。
物置や車庫には鍵をかける。
外出時や就寝時には、施錠を確認する。
外出時にはお隣やご近所に一声かけて、地域ぐるみの放火防止対策を行う。
家の周りに外灯を設置して、放火されない環境をつくる。
燃えやすい不用品は処分する。
駐車場の放火対策
車の施錠を確実にして、窓は完全に閉める。
駐車場所は常に明るくして、他の人が自由に出入りできないようにする。
ボディーカバーは「防炎製品」を使うようにする。
タバコによる火災
死者が発生した住宅火災の最も多い原因である「タバコ」の場合、死者26人のうち16人が高齢者で、例年半数以上を占めている。
「火源が落下する」が約8割を占めており、注意をしていれば発生を防止できる。
布団等に落ちたタバコは、しばらく無炎燃焼を続け、気付いた時には室内に一酸化炭素等の有毒ガスが充満する。
そのため避難行動がとれず、命を落とす危険がある。
タバコ火災を防ぐポイント
寝タバコは絶対に禁止。
飲酒→喫煙→うたた寝に注意。
吸殻は水で完全に消火する。
吸殻はためずに定期的に捨てる。
歩きながらの喫煙やポイ捨ては絶対にやめる。
タバコは決められた場所で吸う。
灰皿の中には水を入れておき、周りには燃えやすい物を置かないように。
吸い終わったら、火を完全に消す。
万が一に備え、布団カバーやシーツ、枕カバーは防炎製品を使う。
灰皿にたまった吸い殻は、こまめに捨てる。
以上のことが完璧に出来ないなら、タバコを吸う資格はないと思い、禁煙しよう。
何気なく吸っているタバコの温度は約700℃だと自覚しよう。
火遊びによる火災
火遊び対策
子どもの火遊びが大きな火災につながることがあるので、火の大切さや恐ろしさを教え、正しい知識を与えるようにする。
マッチやライターは子どもの手の届く所に置く。
花火をする時は、必ず水バケツを用意して、大人が付き添うようにする。
ライターにはCR(チャイルドレジスタンス=子どもが操作しにくい機能)を付けるように規制されているので、CR機能付きのライターを使用する。
コンロ火災
住宅火災で最も多いのは「コンロ」が原因による火災。
コンロ使用中に「放置する・忘れる」が多い。
また、死傷者が発生した住宅火災では、調理中にこんろの火が、着ている服の袖口やすそに燃え移るなど、服に着火した火災も多発。
高齢の方は、着衣に火がついたとき、素早い消火をすることができずに重症化するケースが多くあり、注意が必要です。
コンロ火災を防ぐ
調理中にコンロから離れないようにする。
コンロの周りに燃えやすい物を置かないように。
安全機能付きのコンロを使用する。
換気扇やコンロ周りの壁、魚グリル等は定期的に掃除する。
着衣着火を防ぐ
コンロの上や奥にある調味料等を取るときは、火を消す。
コンロの火が鍋等の底からはみ出さないように火力を調節する。
調理をするときは、ストールやマフラーは外す。
防炎製品のエプロンやアームカバーを使う
コンロにかけた天ぷら鍋を放置し、火災になるケースが増えている。
電話や来客などでコンロから離れるときは、少しの間でも消すようにしよう。
電話や来客などで少しの間でもコンロから離れる際は、必ず火を消すように。
コンロの周りには、燃えやすいものを置かないようにします。
コンロやゴム管などは、定期的に点検しよう。
使用しない時は、必ずガスの元栓を閉めるようにする。
Siセンサーコンロ(安全装置付きコンロ)
Siセンサーコンロとは、全てのバーナーに安全センサーを搭載したコンロ。
平成20年10月以降に販売されている全てのコンロが、
Siセンサーコンロとなっている。
油の温度を感知し鍋底の温度が250℃になると自動的に消火して、
油の発火を防ぐ『調理油過熱防止装置』
煮こぼれなどで火が消えると、ガスを遮断する『立ち消え安全装置』
コンロと魚焼きグリルの火を一定時間で消火する『消し忘れ消火機能』
以上の機能が標準装備されているため、万が一火を消し忘れるようなことがあっても、火災の発生を防ぐことができます。
まだ、Siセンサーコンロを使用していない家庭は、できるだけ早く交換しよう。
▽最近のコンロはSiセンサー付き
ストーブ火災
「ストーブ」が原因による住宅火災も毎年多く発生しており、死者も発生している(電気ストーブや石油ストーブのほか、ハロゲンヒーターやガスファンヒーター等を含む)。
住宅火災による死者の内訳を見てみると半数以上の方が「電気ストーブ」が原因で亡くなっている。
発生状況は、「可燃物がストーブに接触する」が最も多く、布団や座布団、衣類に着火するケースが多くを占めている。
ストーブ火災は寒い時期を中心に多く発生していることから次のことに注意し、ストーブ火災を防ぎましょう。
ストーブ火災を防ぐポイント
就寝時や外出時は必ずストーブを消す。
ストーブのまわりに可燃物を置かないようにする。
ストーブの近くで洗濯物を乾かさないように。
給油は必ず消してから行う。
ストーブを布団やカーテンの近くに置かないようにする。
電気火災
電気火災とは、電気や電気製品にかかわる火災のことをいう。
電気火災の中でもコード、プラグ、コンセント等に起因する火災は、火を使用している意識がないため、火災に気付きにくく危険だ。
電気コード火災を防ぐポイント
コンセントにホコリがたまらないように、特に隠れているところに注意して定期的に掃除しよう(特に冷蔵庫やテレビに使っているコンセントやプラグは定期的に清掃する)。
差し込みプラグをコンセントから抜くときは、電気コードではなくプラグ本体を持って抜こう。
電気コードの折れ曲がり、家具等の下敷きや挟まれに注意(電気コードは、上に重い物を置いたり、無理に曲げたりしない)。
電気コードは束ねて使用しないように。
テーブルタップは、決められた容量内で使用する。
タコ足配線は絶対に止める。
使用した後、プラグはできるだけ抜いておく。
火災を防ぐためのチェックポイント
火の用心7つのポイント
1. 家のまわりに燃えやすい物を置かない。
2. 寝タバコ、タバコの投げ捨てをしない。
3. 揚げ物をするときは、その場を離れない。
4. 風の強いときは、花火などをしない。
5. 子供には、マッチやライターで遊ばせない。
6. 電気器具は正しく使い、たこ足配線はしない。
7. ストーブには、燃えやすいものを近づけない。
住宅用火災警報器
住宅用火災警報器は、全ての居室、台所、階段に設置する。
適正な維持管理・点検・お手入れ
作動確認
住宅用火災警報器は適切に作動するか定期的に作動確認しよう。
作動確認は、本体の点検ボタンを押すか、ひも付きのものは、ひもを引くことで行うことができる。
音が鳴らない場合は、電池切れか機器の故障が考えられる。
ホコリは大敵
住宅用火災警報器にホコリ等の汚れがつくと、火災を感知しなくなる危険性がある。
汚れが目立ったら乾いた布でふき取る。
台所に設置してある住宅用火災警報器で油汚れがひどいものは、せっけん水に浸した布を十分絞ってからふき取る。
交換時期は約10年
住宅用火災警報器は、故障警報や電池切れ警報により異常を知らせてくれる機能が付いているので、警報が鳴った場合は製品の取扱説明書を確認。
故障の場合は本体交換、電池切れの場合は新しい電池に交換するか、設置から年数が経過したものは、本体の交換も検討しよう。
また、住宅用火災警報器の耐用年数は概ね10年。
10年を過ぎているものは、火災を感知できなくなる可能性が高いため、設置年月か、本体に記載されている製造年を確認しよう。
住宅用火災警報器・管理のポイント
全ての居室、台所、階段に設置する。
定期的に作動状態の確認、機器本体の清掃をする。
電池切れの時は、新しい電池に交換する。
設置から10年を経過したものは交換を検討しよう。
もし火災になってしまったら・・・
もし、火事が起きてしまった場合は、落ち着いて、次の3つの事を行う。
1.早く知らせる
大声で近所に火事を知らせる。
すぐ119番通報する。
2.早く消火する
火が天井に燃え広がらないうちに、すばやく消火する。
この時、特に気をつけたいのが、油の入った鍋に火が付いた時や、コンセントやプラグから発火してしまった時。
このような場合に水をかけることは、火を消すどころか逆効果になる可能性が高いため、絶対に避けねばならない。
出火してしまった時にもっとも安全で効率的な消火方法は、なんといっても消火器。
「消火器の使用方法」を家族でしっかり訓練しておこう。
3.早く逃げる
火が天井に回ったら、すぐに避難する。
避難するときは、燃えている部屋の窓やドアを閉めて、空気を絶つ。
煙の中を逃げるときは、濡れたタオルなどで口をおおい、できるだけ姿勢を低くする。