32万人もの犠牲者が予想される南海トラフ地震が30年以内に発生する確率とメカニズム

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最近、南海トラフ地震という名称をよく目や耳にします。

それは、南海トラフ地震がいつ発生してもおかしくないからです。

でも、知っているようで知らない南海トラフ地震。

そこで知っておきたい、南海トラフ地震の基礎知識をまもめてみました。

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予想死者数は東日本大震災の約17倍約32万3000人

南海トラフ巨大地震の震度分布(強震動生成域を陸側寄りに設定した場合)出典:気象庁

今後30年以内に南海トラフ地震が発生する確率をご存知でしょうか。

ナント70~80%と言われているのです。

南海トラフ地震は大津波を伴う地震が特徴で、

最悪、死者は東日本大震災の約17倍に上る約32万3000人にのぼると予想されています。

5月10日午前8時48分、宮崎県で震度5弱を観測した地震は、

震源が日向灘で、

南海トラフ巨大地震で想定される震源域で発生した。

震源の深さが25キロというのは、

大陸と海のプレートの境界で起きた地震で、

今回の地震の規模を示すマグニチュードは6.3でしたが、

もしマグニチュード6.8以上であったなら、大変なことになっていたといいます。

南海トラフ地震の発生メカニズム

出典:気象庁

そんな南海トラフ地震が起こるメカニズムは、簡単に説明するとこうなります。

日本列島が乗っている陸側のプレートを引きずり込むように、海側のプレートが沈み込んでいます。

その沈み込む最初ののラインを南海トラフと言います。

2つのプレートの境界面には、「固着域」と呼ばれる部分があり、固着域周辺には地震の原動力になる「ひずみ」が溜まり続けています。

それが限界に達すると固着域が破壊され、陸側のプレートが跳ね上がります。

それが地震となり、強い揺れや津波を引き起こすのです。

南海トラフ巨大地震の津波高(「駿河湾~愛知県東部沖」と「三重県南部沖~徳島県沖」に「大すべり域+超大すべり域」を2箇所設定した場合) 「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」(中央防災会議, 2013)出典:気象庁

南海トラフ地震とは

駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を「南海トラフ」といいます。

この南海トラフ沿いのプレート境界では、

①海側のプレート(フィリピン海プレート)が陸側のプレート(ユーラシアプレート)の下に1年あたり数cmの速度で沈み込んでいます。
②その際、プレートの境界が強く固着して、陸側のプレートが地下に引きずり込まれ、ひずみが蓄積されます。
③陸側のプレートが引きずり込みに耐えられなくなり、限界に達して跳ね上がることで発生する地震が「南海トラフ地震」です。
①→②→③の状態が繰り返されるため、南海トラフ地震は繰り返し発生します。

南海トラフ地震の過去事例を見てみると、その発生過程に多様性があることがわかります。宝永地震(1707年)のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8クラスの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりしています。さらに、隣接する領域で地震が続発した事例では、安政東海地震(1854年)の際には、その32時間後に安政南海地震(1854年)が発生し、昭和東南海地震(1944年)の際には、2年後に昭和南海地震(1946年)が発生するなど、その時間差にも幅があることが知られています。

南海トラフ地震は、概ね100~150年間隔で繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから70年以上が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。

出典:気象庁
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