大津波警報・津波警報・津波注意報が発表されたら
「津波起きたら命てんでんこ」
三陸地方じは昔から「津波起きたら命てんでんこ」という教えが伝えられて来ました。
「津波が来たら、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに一人で高台へと逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という意味です。
それだけ津波は一刻を争うということです。
この教えは古くから伝わりますが、近年では北海道南西沖地震(1993年)の奥尻島での津波で、手をつないで避難していた母子3名が、途中で祖母の家に立ち寄ったため、命を落としたことがこの教えを肝に銘じる契機となりました。
祖母がすでに避難していたのにも関わらず、それを知らずに母子3人は祖母を心配し、祖母の家に向かったため、尊い命を失くしてしまったからです。
そんな悲劇を繰り返さないための教えであり、決して利己主義を推奨するものではありません。
津波が起きたら、他のことは一切構わず、とにかく逃げろ!
というのが正しい教えなのです。
津波から身を守るために
1.地震の揺れがおさまったら「津波」を意識する
2.強い揺れや弱くても長い揺れの地震があったらすぐに避難
3.揺れを感じなくても普段から津波情報に注意
1.海辺に居る時に地震で揺れたら、真っ先に避難を!
2.近くの高台や津波避難ビル、より高く頑丈な建物へ!
3.大きな河川の周辺にいるときは、川から離れて避難を!
4.避難したら津波警報注意報が解除されるまで絶対に戻らない!
出典:日本気象協会
警報・注意報は何が違う?
大津波警報
予想される津波の高さが高いところで3mを超える場合
木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれます。
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
津波警報
予想される津波の高さが高いところで1mを超え、3m以下の場合
標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生します。人は津波による流れに巻き込まれます。
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
津波注意報
予想される津波の高さが高いところで0.2m以上、1m以下の場合であって、津波による災害のおそれがある場合。
海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆します。
海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください。
津波警報・注意報と避難のポイント
震源が陸地に近いと津波警報・注意報が津波の襲来に間に合わないことがあります。
強い揺れや弱くても長い揺れを感じたときは、すぐに避難を開始しましょう。
津波の高さを「巨大」と予想する大津波警報が発表された場合は、東日本大震災のような巨大な津波が襲うおそれがあります。直ちにできる限りの避難をしましょう。
津波は沿岸の地形等の影響により、局所的に予想より高くなる場合があります。ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難しましょう。
津波は長い時間くり返し襲ってきます。津波警報・注意報が解除されるまでは、避難を続けましょう。
避難の時の注意点
避難は「原則」徒歩で
・自動車での避難は道路の渋滞に巻き込まれるおそれがあるため、可能な限り徒歩で避難しましょう。
・東日本大震災(2011年)では、道路が渋滞し避難者が混乱しました。
「川沿い」を避ける
・津波は川の河口から上流に向かって逆流することもります。河口から数十キロの地点まで津波が遡上(そじょう)したこともあります。
・沿岸の地形などにより、遡上する距離も変わっきますが、河口から離れた地域でも川沿いは避けましょう。
木造の建物には逃げない
・木造家屋は、津波による浸水の高さが2m程度になると倒壊することがあります。
・浸水が1m程度でも半壊することがありますので、木造家屋の住人は、すぐに高台などの安全な場所へ避難しましょう
間に合わない場合は鉄筋コンクリートの建物へ
・高台まで距離があり、避難が間に合わないと判断した場合は、鉄筋コンクリート製の建物の、できるだけ高い階まで逃げましょう。
・事前に周囲の鉄筋コンクリート製の建物を確認しておきましょう。
「30cm」の津波でも人間は流される
・たとえ30cmの津波でも、屈強な人でさえ簡単に流されてしまいます。
・津波は、家や自動車、停泊している船なども簡単に押し流すため、警報や注意報が発表されたらすみやかに高台など安全な場所へ避難しましょう。
小さな揺れの地震でも津波は来る!
・「小さな揺れでは津波は来ない」というのは誤り。
・明治三陸沖地震(1896年)では震度4程度の揺れでしたが、その後に押し寄せた津波で約2万人を超える方が亡くなりました。
沿岸付近に住んでいる方は小さな揺れでも津波に対する警戒が必要です。
津波は何度も押し寄せる
・津波は何度も押し寄せ、第2波以降の波が急に高くなることがあります。
警報や注意報が解除されるまでは、高台などの安全な場所へとどまりましょう。
引き波に巻き込まれると沖合まで流される
・陸地に流れ込んだ津波は、時間がたつと海へ戻ろうとします。
その力は大きく、街中の物が沖合まで流されてしまうこともあるほどです。
ハザードマップで浸水エリアを確認する
・津波による浸水被害が想定されている地域では、自治体がハザードマップを作成しているので、事前に浸水地域や避難場所、避難経路などを確認しておきましょう。
※ただし、ハザードマップはあくまで「予想」であるため、予想を超えた津波が押し寄せた場合は、浸水エリアが大幅に拡大するおそれがある。
津波の基礎知識
津波は、主に地震発生に伴う海底の隆起・沈降などにより、その周辺の海水が上下に変動することによって起こる現象です。
波浪は風によって海面付近の海水だけが動きますが、津波は海底から海面までの全ての海水が動きます。
波浪の波長(波の山から次の山までの長さ)は数mから数百m程度ですが、津波は数㎞から数百㎞と非常に長く、海水が巨大な水の塊となって沿岸に押し寄せます。
津波が引く場合も強い力で長時間にわたり引き続けるため、破壊した家屋などの漂流物を一気に海中に引き込みます。
津波は、水深が深いところほど波の進行速度は速く、水深が浅くなるほど波の進行速度が遅くなるという性質があるため、津波が陸地に近づくにつれ、後から来る波が前の波に追いつき、波が高くなります。
津波は何回も押し寄せたり、複数の波が重なって著しく高い波となることもありますので、最初の波が一番大きいとは限らず、後で襲来する津波のほうが高くなることもあります。
また、湾部の地形では津波が行き場を失い、湾奥で集中して津波の高さが局所的に高くなる場合があります。
出典:日本気象協会
自宅から離れた場所で地震が起きた場合、自宅は揺れていなくても、津波が襲来することがあります。
東北地方太平洋沖地震では、揺れを観測していない鹿児島県種子島でも1.5mの津波が観測されています。また、海外で発生した地震でも津波は襲来します。
1960年の南米チリで発生したM9.5の地震では、日本でも場所によっては6mの津波が襲来し、日本で119名が亡くなりました。
遠方の地震が原因の津波は、襲来までにある程度時間がかかります。
テレビなどの報道、メールサービスやアプリなどで地震・津波情報などの防災情報を受信できるサービスを活用して、津波警報・注意報の発表を知ったら避難するようにしましょう。
「津波は引き潮から始まる」と思っている方もいるかもしれませんが、津波は押し波から来ることもあります。
陸域では津波は早ければ時速40kmちかい速さで進みますので、津波を確認してから避難をしたのでは逃げ切れません。
津波が来るかどうかを確認するために海岸に向かうことは絶対にやめましょう。
津波警報・注意報が発表されたらすぐに避難
津波の威力はとても強く、20~30cm程度の高さであっても、水が一気に押し寄せてくるため、健康な成人でさえ抗しきれません。
大津波警報・津波警報が発表されたら、一刻も早く高台など安全な場所へ避難しましょう。
津波注意報が発表された場合でも海や川の河口から離れましょう。
予想される津波の高さは、1m、3m、5m、10m、10m超の5段階で発表されます。
例えば、3~5mの津波が予想された場合は、「大津波警報」が発表され、「予想される津波の高さは5m」と発表されます。
地震の規模(マグニチュード)が8を超えるような巨大地震が発生した場合は、最大の津波想定等をもとに津波警報・注意報が発表されます。
この場合、最初に発表される大津波警報や津波警報では、予想される津波の高さが「巨大」や「高い」と表現され、非常事態であることを伝えます。
津波の高さを「巨大」と発表された時は、東日本大震災のような巨大な津波が襲うおそれがあるため、ただちにできる限り高いところへ避難しましょう。
震源が陸地に近いと津波警報が津波の襲来に間に合わないことがあります。
強い揺れや弱くても長い揺れがあった場合は、すぐに避難を開始しましょう。
とにかく早く高い場所に避難する
津波で避難するときは、「遠く」より「高い」場所に避難することを意識しましょう。
自動車での避難は道路の渋滞に巻き込まれるおそれがあるため、原則、徒歩で避難しましょう。
想定されている津波浸水の高さ以上に位置する「津波避難ビル」やできるだけ頑丈で高い建物に避難してください。
木造の建物は、津波の高さが2m程度になると倒壊する可能性が高くなります。
避難所に指定されているところであっても、洪水や土砂災害を想定して指定されている場合もあり、津波からの避難には適さないこともあります。
津波の浸水の危険性がない安全な避難場所を家族で調べてその情報を共有しましょう。
川は津波がさかのぼるのを遮るものがないため、市街地よりも内陸へ進みます。
海からではなく、川から津波が襲ってくることもありますので、川から離れる方向に避難しましょう。
津波は沿岸の地形などの影響で局所的に高くなる場合があります。
予想される津波の高さだけで、ここなら安心と思わずにより高い場所を目指して避難しましょう。
避難したら絶対に戻らない
津波は1回だけではありません。津波の高さも第2波、第3波と高くなることもよくあります。
高台へ避難した後に「津波が来なかった」「来た津波があまり高くなかった」などで安心して避難場所から自宅に戻るのは危険極まりない行為です。
津波は長い時間繰り返し襲ってきます。
気象庁は、大津波警報や津波警報が発表されている時には、観測された津波の高さを見て、これが最大だと誤解しないように、最大波の津波の高さを数値で表わさずに、「観測中」と発表する場合があります。
東北地方太平洋沖地震のとき、函館では14:49に津波注意報が発表された後、16:15に第1波が観測され、第1波から7時間後の23:35に最大となる239cmの津波が襲来しています。
津波警報・注意報が解除されるまでは、これから高い津波が来ると考えて、絶対に安全な避難場所を離れずに留まりましょう。
参考記事→Yahoo!JAPAN 防災速報 日本気象協会 神奈川県 国土交通省