[水難]海や川の水難事故、山での遭難事故をいかに防ぐか

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楽しいレジャーの一時も判断を誤ると取り返しのつかない悲劇に…。
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水難の約半数は死亡事故に!

平成29年(2017年)に全国で発生した水難は1,341件、水難に遭った人の数は1,614人

そのうちおよそ4割にあたる679人が、亡くなったり行方不明となったりしています。

いったん事故が起きると、命にかかわる重大事故になる怖れが非常に高いのが、水難の特徴です。

水難の死者・行方不明者の割合を場所別にみると、

1位「海」56.6%

2位「河川」(25.6%)

3位「湖沼地」(8.4%)

4位「用水路」(8.1%

平成29年 水難の場所別 死亡・行方不明者の割合(n=679人)

また、水難の死亡・行方不明が、どのような場合に起きているか

「魚とり・釣り中」32.3%

「水遊び中」9.0%

「水泳中」6.9%

「作業中」6.5%

平成29年 水難の行為別 死者・行方不明者の割合(n=679人)

子供(中学生以下)の死者・行方不明者を場所別にみると、

1位「河川」65.4%

2位「海」(15.4%)

3位「湖沼地」(11.5%)

4位「用水路」「プール」(3.8%)

子供の場合は、全体平均と比べて、「河川」が約40ポイント上回り、河川での水遊びが危険だという結果。

平成29年 水難の行為別 死者・行方不明者の割合~子供の場合(n=26人)

水難は、特に水に親しむ夏に多く発生していますが、必ずしも夏に起きるとは限りません。

平成29年(2017年)の夏期(7、8月)は、わずか2か月間で事故件数511件、水難者647人、うち死者・行方不明者計248人で、年間に占める割合は、事故件数は約38%、水難者は約40%、死者・行方不明者は約37%になります。

ただし、残り約60%の水難が7、8月以外の10か月間で起きていることにも注意する必要があります。

こうした水の事故を防ぐためには、水難につながりやすい危険な場所、危険な行為などを知っておくことが重要です。

海の事故対策

不注意や無謀な行動、「離岸流」や「急な深み」にも注意

自然環境の特徴を理解し、水難につながりやすい危険な場所などを知っておくことが重要です。

また、ささいな不注意や無謀な行動、危険な悪ふざけが水難事故につながることも多くあります。

海水浴を中心に、海で水難に遭わないための注意点を紹介します。

海での水難を防ぐための注意点

海水浴では危険な場所を確認し近づかない

水温の変化が大きい場所や、流れの激しい場所、海藻が茂っていて遊泳者に絡みやすい場所などがあります。

こうした危険な場所は、「危険」「遊泳禁止」などと案内されていることが多いので、海岸や海水浴場の掲示や標識などをよく確認し、決して禁止区域には入らないように気をつけましょう。

「遊泳区域」であっても、油断は禁物です。

岸に近いところでも、沖へ流れるとても速い潮の流れ(離岸流)があったり、急に深くなる場所があったりします。

また、同じ場所であっても、天候や潮の満ち引きによって変化することがありますので注意しましょう。

また、魚とりや釣りをするときには、ライフジャケットやスパイクブーツなど体に合ったものを正しく着用し、危険な場所を避け、近づかないようにしましょう。

特に子供を危険な場所に近づけないようにするのは親の務めです。

健康状態が悪いときや酒を飲んだときは泳がない

体調が優れないとき、疲れているときの水泳や釣りは危険です。

飲酒後や飲酒しながらの水泳や釣りも、事故につながりやすく危険ですので、絶対にやめましょう。

悪天候のときは海に出ない

海が荒れているときや荒れることが予想されるときの海水浴などは危険です。

子どもだけでは遊ばせない。目を離さない。

子供だけでは遊ばせない

水深が浅い場所でも、ほんのちょっと目を離したすきに、子どもが溺れたり、波にさらわれたりすることがあります。

必ず大人が付き添い、子供から目を離さないようにしましょう。

子ども1人での水遊びは大変危険ですので、絶対にさせてはいけません。

ライフジャケットを着用する

釣りをするときやボートに乗るときなどは、自分の体に合ったライフジャケットを必ず正しく着用しましょう。

また、万一、事故に遭った時のために、携帯電話を防水パックに入れるか完全防水の携帯電話を携行しましょう。

川の事故対策

水に入らなくても川の水難事故は多い。

川の地形・天気の急変や急激な増水に注意

川のレジャーは、魚とりや釣り、水遊びやボート遊びなどのほかに、河原でのバーベキューなど、必ずしも水に入ることを目的としていませんが、それでも毎年のように水難が発生しています。

特に子どもは河川での事故が多いので、絶対に1人では遊ばせないようにしましょう。

川の状態は、地形によって、右岸、左岸でも川の流れが違っていたり、川底に深みがあったりするため急に流されたり、深みにはまったりする危険があります。

また、上流の天候などによっても急に大きく変化します。安全と思われる場所でも、上流で豪雨などがあると急に増水し、水難につながる危険があります。

海での注意点に加えて、次のような注意が必要です。

川の地形を知り、急な増水に備えるために

出掛ける前に天気や川の情報をチェック

川などに行く前に、天気や川の情報をチェックしましょう。

悪天候が予想されているときは、無理をせず、中止・延期を検討しましょう。

また、上流にダムがある場合は水量や水の需要に応じて放水することがあり、その場合は急激に増水することがありますので注意が必要です。

危険を示す掲示板、水流が速い・深みがあるところは危険

川では、「危険を示す掲示板」が設置されているところがありますが、そうした掲示板がある場所では絶対に遊ばないようにしましょう。

また、川の地形は複雑であり、同じ川でも場所によって川の流れが速くなっていたり、急に深くなったりする場所がありますので、そのようなところには近づかないようにしましょう。

河原や中州、川幅の狭いところに注意

河原や中州は、急な増水により水没する可能性があります。

特に中州は、増水すると逃げ道がなくなり、取り残されてしまう危険があります。

また、川幅が狭い場所は、増水すると短時間のうちに水位が上昇し、川の流れが速くなるおそれがあります。

天気や川の変化に注意する

川辺にいるときは、天候の変化や川の状態に注意し、次のような変化が見られたときは、川の水が急に増えるサインです。

すぐに避難しましょう。

[box04 title=”避難のサイン”]• 上流(水が流れてくる方)の空に黒い雲が見えたとき
• 雷が聞こえたとき
• 雨が降り始めたとき
• 落ち葉や流木、ゴミが流れてきたとき[/box04]

中小河川や用水路などでも豪雨・台風には注意を!

中小河川や用水路などでも、多くの水の事故が発生しています。

集中豪雨などのために、ごく短時間のうちに水位が急上昇して水があふれ出し、川沿いの公園や道路にいた人が押し流された事例や、あふれた水のために河川や用水路の位置が分かりにくくなり、足を踏み外して流されてしまう、といった事例が起きています。

山岳遭難対策

山での遭難の原因は「道迷い」「滑落」「転倒」

平成29年(2017年)には2,583件の山岳遭難が発生し、計3,111人が遭難しています。

そのうち死者・行方不明者は354人でした。

発生件数、遭難者数は統計の残る昭和36年(1961年)以降で最も高い数値になりました。

発生件数、遭難者は年々増加傾向にあり、10年前と比較すると、平成29年(2017年)は、発生件数・遭難者とも約6割増加しています。

山に入った目的別に遭難者の割合をみると、

1位が「登山(ハイキング、岩登り、スキー登山などを含む)」で全体の71.5%、

2位が「山菜・きのこ採り」(12.2%)

遭難の内容別にみると、

1位「道迷い」40.2%、

2位「滑落」(16.8%)

3位「転倒」(15.1%)

平成29年 山岳遭難の態様(n=3,111人

年齢別にみると、60歳以上が全遭難者の51.0%を占めています。

そして死亡・行方不明者においては、60歳以上が64.7%にはね上がります。

平成29年 山岳遭難者の年代別割合(n=3,111人)

山岳遭難は夏期にも発生しています。

平成29年(2017年)は夏期(7~8月)の2か月間で611件、705人の遭難が発生し、うち68人が死亡・行方不明となっており、年間に占める割合は、発生件数は約24%、遭難者は約23%、死者・行方不明者は約19.2%となっています。

こうして防ぐ山岳遭難

体力・経験などに応じた安全な登山計画と十分な装備を

山岳遭難の多くは、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てたり、天候に対して適切な判断ができなかったりするなど、知識・経験・体力の不足などが原因で発生しています。

標高の高い山だけでなく、低い山でも山岳遭難は発生しています。

遭難を防ぎ、安全に山を楽しむために、次のことに注意しましょう。

遭難を防ぐための注意点

知識・体力・経験に見合った山選びを

登山者の体力、体調、登山の経験、気象条件などに見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備、食料などに配慮して、余裕のある安全な登山計画を立てましょう。

例えば滑落などの危険箇所が、目的とするコースのどこにどのようにあるかなど、事前によく調べ、回避コースを含めて十分に把握しておきましょう。

また、単独登山は避け、信頼できるリーダーを中心にグループを組むようにしましょう。

 登山計画の作成、提出

登山計画を立てたら、登山者の氏名や連絡先、日程やコースなどを登山計画書にまとめて、家庭、クラブ(山岳会)、職場、登山口などの登山届ポスト、山を管轄する警察署などに提出しておきましょう。

インターネットによる登山届(一部の県警察ホームページ、公益社団法人日本山岳ガイド協会オンライン登山計画システム「コンパス」など)の方法もあります。

登山計画書を提出しておけば、救助機関が遭難の発生を認知した際、捜索・救助が迅速に行われる可能性が高まります。

冷静な状況判断と、慎重な行動を

山岳遭難では、気象の急変による「気象遭難」も多発しています。

登山予定日の数日前から現地の気象に注意し、悪天候の場合は無理に登山をするのはやめましょう。

登山中に、霧(ガス)や雨、あるいは雪などで視界不良になった場合や、疲労や病気などで体調不良になった場合は、滑落や道迷いなどの危険が高まりますので、早めに登山を中止するよう努めましょう。

道迷いを防ぐためには、地図やコンパスなどを活用して、常に自分の位置を確認するよう心がけましょう。

また、滑落や転落を防ぐためには、あらかじめ滑りにくい登山靴やストックなどの装備を有効に使うとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心がけましょう。

通信手段の確保

万一、遭難したときに地元の警察などに通報して助けを求められるよう、携帯電話やスマートフォンなどの通信手段を携行しましょう。

山では携帯電話の通話圏外になる場所も多くありますが、携帯電話などからの通報で救出された例も少なくありません。

また、山ではバッテリーの消耗が速くなることがありますので、予備のバッテリーも必ず携行しましょう。

グラフ出典/警察庁 山岳遭難・水難

イメージ写真/photoAC

参考元記事/政府広報オンライン

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